最近この権利関係の本を2冊読みました。
- 著作権トラブル解決のバイブル! クリエイターのための権利の本(著者:大串 肇、北村 崇、古賀 海人、齋木 弘樹、角田 綾佳、 染谷 昌利 株式会社ボーンデジタル)
- 駆け出しクリエイターのための著作権Q&A(著者:川上大雅 玄光社)
(※上記2冊どちらも書影の利用許可をいただいております)
こちらの2冊読み、二次創作でコスプレを楽しんでいる身として結構刺さる内容だったため、折角なので今回記事にしたいと思いました。レイヤー・カメラマンだけではなく、二次創作を作られている方、全般においても大事な話が書かれていました。
今回全てまとめることは難しいと思うので、コス活動をするにあたり、より関係性の高い部分に焦点を当てて、お話ししたいと思います。
アップロードや公表した写真が原因で訴えられてしまうケースも今後あるかもしれないので、最低限の知識を身につけて気をつけてコスプレしていきたいですね。
法律形のお話なので少しお硬めな内容ですが、お付き合いいただけると嬉しいです!
目次
【最低限理解したい権利①】肖像権・プライバシー権
撮影者また写真をアップロードする方には該当するお話です。
写真撮影をするとき、「肖像権・プライバシー権」というものがついて回ってきます。
そもそも肖像権・プライバシー権とは?
肖像権というのは、厳密には法律ではなく、判例状認められている権利をのことを指しているそうです。
肖像権(しょうぞうけん)とは、肖像(容姿やその画像など)に帰属される人権のことである。
Wikipediaより一部抜粋(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%97%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%90%E3%82%B7%E3%83%BC)
「容姿などの肖像を無断で公表・使用されない権利」という人格的利益を保護する権利のことを「肖像権」といいます。
簡単にいうと、許可もなく勝手に撮影されたら、誰でもムッとすると思います。その時に受けた精神的苦痛だったり、社会通念的にも度がすぎているだろうとなれば、肖像権を侵害して違法となってしまう。ということです。
次にプライバシー権というのは、
私生活上の事柄をみだりに公開されない法的な保障と権利である[1]。
Wikipediaより一部抜粋(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%97%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%90%E3%82%B7%E3%83%BC)
要するに、「自己に関する情報をコントロールする権利」と呼ばれています。
簡単にいうと、部屋の中を勝手に撮られたとか、外出先での私生活を写真に撮られたなどで精神的苦痛を与えられた場合に守ってくれる権利、ということです。
どちらも個人情報を保護する内容が書かれている権利で、写真撮影する時に一般の方をやむなく被写体で入れてしまう場合は最低限理解しておきたい権利となります。
日常の撮影で気をつけたいポイント
普段日常過ごす上で、街中の写真など皆さん撮影することがあると思います。
その時、背景に一般の方が写り込んでしまうことはよくありますよね。
「肖像権・プライバシー権」の観点から言うと、そんな日常での何気ない撮影だとしても「肖像権・プライバシー権」は適用されてしまいます。
適用される、されないの判断基準は「写っている人が判別できるかどうか」です。
写っている人が判別できる状態で公開してしまうと、仮に訴えられた時、「肖像権・プライバシー権」の侵害になってしまう可能性があります。
そのためにも、写っている人が判別できてしまう場合、
モザイクアプリやスタンプなどでその方の顔を隠してあげる(ぼかしてあげる)処理を入れ、「肖像権・プライバシー権」を守ってあげることが大切です。
(逆に遠くてはっきりわからない状態、一部だけ写り込んでいる、不特定多数の一部ということであれば肖像権の侵害にはならないそうです。)
コスプレ撮影で気をつけたいポイント
あれ?じゃあアコスタとかの街中のイベント会場って結構やばくない??不法地帯??と思ったのですが、
アコスタなどのイベント会場の場合は、撮影が予測できる状況であるということが言えるため、一般の方でも撮られたとしても「この場所では撮影が行われている」ということを容認している、と捉えられるらしく、肖像権の侵害には当たりにくいそうです(びっくり)
とはいえ、「プライバシー権」は主張できるので、写真をアップロードするとき一般の方が映り込んでいた写真の場合は、
やはり「顔をぼかすなどで、写っている人を判別できないようにする」
を徹底した方がトラブルを避けることにつながるのでやっていた方が無難かなと思いました。
特にロケ撮影をする場合は、イベントでもないため、より配慮して撮影をするべき、ということですね。
とはいえ作品の世界観によるとは思いますが、関係のない方を特定できるような入れ方をすると写真の中の世界観を壊してしまうことにもつながるため避けたほうが良いと個人的にも思います。
特に子供が映り込んでしまった場合は特に注意が必要で、
親から訴えられたりトラブルの大きな元になってしまうそうなので、特に気をつけて撮影は行いましょう。
(親御さんの立場からしても大事な子供が勝手に被写体の中に写っていたら気が気じゃないと思いますし。。。)
写真をアップロードする前にチェックしたいポイント
- 背景の人物の顔が特定できてしまっていないか
- 子供が写っていないか
※顔がどうしても写ってしまっている場合は、必ずぼかしなどを入れて特定できないように配慮た上で慎重に使いましょう。
【最低限理解したい権利②】著作権
著作権は知的財産権の一つで、「財産的な価値ある情報」の利用をコントロールする権利です。
昔から議論されている通り、二次創作と著作権は切っても切れない関係性ですよね。
皆さんもご存知かと思いますが、法律上は「基本的には二次創作全般、著作権違反」という扱いです。
なので、同人誌、コスプレ、MADなど大半が著作権上違反していると言えます。
もし仮に、法律に則って二次創作をする場合、
営利非営利問わず、原作者に事前に許可をいただき二次創作をしないと著作権侵害になってしまいます。(※事後申告ではダメ。)
でも、あまりにも現実的ではないですよね。(いちいち確認なんか取っていたら熱も冷めてしまうのもわかります)
そういう著作権観点から言えることは、
「現状二次創作ができているというのは、原作者側、版権元がただ見逃してくれているだけ」という風に解釈できます。
これが「二次創作はグレー」と呼ばれる所以だったんですね。
まさに脆弱な基盤の上で自分たちは楽しめているんだ、というのは最低限知っていても良いのかなと個人的は思いました。
原作者などがその作品が盛り上がってくれるなら、と喜んでくれて容認していただけている場合は良いですが、
そうじゃない場合では、
権利上違反している立場にいる私たちは、版権元などから取り下げの連絡が来た場合などは直ぐに取り下げを行うなど対応をする必要はありそうです。
あくまで、原作者、版権元の容認があってこその二次創作ということは認識しておいて良いことだと思います。
下手にイベントなどでルール違反をして拡散され、それが原作者の耳に入ってしまい、規制がかかってしまう。
というのも、ない話ではないと思うので、一人一人が気をつけてイベントは楽しむべきなんだろうなと思います。
もちろんイベントは楽しむ場なので、節度を守って楽しみましょう。ということですね。
かといって権利ばかりに執着して、創作活動ができなくなってしまうのは本末転倒なので、あくまで背景知識として知っておくというのが個人的には良いかなと思います。
改めて二次創作としてコスプレを楽しませていただいている一人として、原作者・版権元の皆様、また二次創作の場所を提供していただけているイベント運営者の方々に改めて感謝申し上げます。
まとめ
ここまですごい固い話をしてしまいましたw(まとめるのも大変でした。。)
でも知らないよりは知っていた方がいい内容だったんじゃないかなと思っていますw
絶対守っておきたいルール
- 写真を撮るときは、肖像権・プライバシー権には注意して撮影。
- コスプレを楽しむときは「イベントのルールをきちんと守った上で楽しむ」
- 著作物を扱っているという認識を常に持つ
ということは改めて私も胸に刻みたいと思います。
私は弁護士でも法律の専門家でもありませんが、コスプレなどの二次創作を楽しませていただいている身として、
これらの権利のお話は最低限理解しておくべきなんだろうと思い、今回記事にさせていただきました。
拙い文章で読みにくかったかもしれませんが、一人でもそういう背景があるんだなと思って創作活動をしていただけると嬉しい限りです。(自戒を込めてですが…!!)
ルールを守って、みんなで楽しく二次創作ができるように、私も含めですが気をつけて制作活動をして行けたらいいなと思います!!
今回はこちらの2つの本を参考にさせていただきました。
- 著作権トラブル解決のバイブル! クリエイターのための権利の本(著者:大串 肇、北村 崇、古賀 海人、齋木 弘樹、角田 綾佳、 染谷 昌利 株式会社ボーンデジタル)
- 駆け出しクリエイターのための著作権Q&A(著者:川上大雅 玄光社)
二次創作だけではなく、絵描き、ライター、プログラマなどさまざまなジャンルや実例を紹介されていて大変ためになったので、本業でクリエイター活動などしている方は必読の2冊かと思います!
読み物としても大変面白かったですし、勉強にもなったのでオススメです!
トラブルに直面した時に慌てないように、前もって知識を持っていれば、防弾チョッキにもなると思いますのでお近くの書店などでぜひ探してみてください!
少し固め内容でしたが、読んでいただきありがとうございました!!それではまた!!